旅行記 はじめに

  • 2017.02.19 Sunday
  • 17:16

「障害の殻」やぶりな人生(仮称)

〜タイ・イタリア旅物語を“今の私”が振り返る〜

 

はじめに〜車いすはポルシェだ

 

 「みなさん、こんにちは。私は電動車いすに乗っています。後ろの方、見えるでしょうか。黒いシートに紫のメタルフレーム。札幌の地下で人の波をかいくぐってスピードを出すのが大好きです。最近は、車いすを『ポルシェ』のように乗りこなすことで有名です。」

 今から3年前のこと。ある大学の理学療法学科約90名の学生さんの前で、いつもより変わった自己紹介をした。後ろの席に座っている学生が、前の学生の肩の間に顔を出してこちらを見ようとしている。

 「車いすはポルシェ」というフレーズは、アパレル関係の企業様が、さっそうと走る私の姿を見て「ポルシェのように格好よく走るミチコさん」とコメントされていた。一般的に車いすには、けがをした人、病気、おじいちゃん、おばあちゃん…というイメージがあるだろうから、新鮮な表現に聞こえる。

  社会全体では、障害者のことはどのように知られているのだろうか。

 ドラマや映画、NHKのドキュメンタリー、24時間テレビの他に、最近はとても華やかでわくわくする情報が広がっている。車いすユーザーのファッションショーや、義足もファッションにしたモデルの本、そして、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催をきっかけに障害者スポーツなどがメディアに取り上げられている。悲しくて暗い話題ではなく、楽しくて明るい話題の方が、人々の気持ちの中に入りやすいのはとても自然なことだ。

 一方で、実際に100名近くの学生に、「車いすに乗っている人(車いすユーザー)は、あなたの友人にいますか?」と聞いても、手を挙げるのは2名ほどだ。それも、小学生の時に一緒の教室にいた、という記憶しかない人もいた。学生さんと同じように、若くて将来のことで悩み、時に遊び倒すことが大好きな車いすユーザーの存在が知られていないようだ。

 

 しかし、障害者と言われている人々やその家族は、時に自分のことで精いっぱいになり、周りに心を開けない時期がある。なぜなら、「障害」と向き合うのは誰でも、その本人でさえも初めてだからだ。足が不自由になり車いすを使うことになれば、階段を上るために知恵を絞らなくてはならない。学校や職場の階段が「障害」になり、友だちとの学校生活も、仕事の機会もなくなることがある。人生を歩んでいた先に「障害物」が立ちはだかるのだ。

 「障害物」は社会が作ってきたものである。そのような状況から抜け出す姿を見て、「頑張っているね。」と言いたくなる時がある。私も言われることがある。テレビで「障害を乗り越える姿」や「障害を克服する姿」を見て、感動したり、自身の至らなさを痛感して「私も頑張ろう」と思ったりする。

 ただ、これだけは忘れないでほしい。思うことは自由だとしても、メディアで見えているものはほんの一部であるし、「乗り越えざるをえない障害」は、私たちが作っている社会でできたものであるということを。

 

 少し重たい話になってしまったが、誰でも今の自分に至るストーリーがある。華やかさや格好よさの背景には、かけがえのないストーリーがある。目をつぶりたいこと、自信が持てないこと、人を信じられないことなどもあって、それでも救ってくれた人々や言葉によって、世界で一つのすばらしいストーリーになっていくのだ。

私にも様々なストーリーがあった。その中に、タイ・イタリアへの13泊の旅がある。難病で杖をついている60代の女性とのふたり旅。すてきな「車いす&ステッキ」コンビの旅として、帰国後に報告会を開いた。

 

 2012年の秋にタイ・イタリアに行き、あれから早くも5年が経った。「障害者で介助が必要な私が、普通に生きていこう」とすると、様々な壁にぶち当たる。色々な葛藤にもがきながら、日常の世界から飛び出したいと思うようになった。その一つがこの旅である。この旅をしてから私の人生が大きく変わった…と言いたいところだが、今も色々なことに悩みっぱなしだ。

私のストーリーは、障害のある人やご家族、友人の他、がむしゃらに何かに頑張っている人、なかなか思うように進まないと感じている人、何かに挑戦したい人、何も頑張っていない人、とにかく誰でも読んでいただきたいと思って書いてきた。

 

 ある出版社の方の協力で1年かけて書いてきたものであるが、タイミングが悪く出版が見送りとなった。色々考えた結果、全く私独自で書いたものであるが、今このタイミングで読みたいと思ってくださる方のために、公にしようと思った。複製されるのではないか?という心配の声もいただいていたが、刻一刻と、私も世の中も変わっていっているため、今のうちに出しいていこうという気持ちが勝ってしまった。

 

 引用したい方や、私の文章に触発された方は、それぞれの吸収の仕方があるので、ぜひ使っていただきたい。

 もし、そういった方は、ぜひご連絡をいただきたいと思う。

 

 ゆっくりですが、ぜひ旅行記をお楽しみください。

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